文法というものは、英会話の勉強の中では敬遠されそうですが、文法は語学の基本であり、文法を学ぶことなく、言語習得をすることは不可能です。ということでこのページでは文法の勉強法について紹介します。
日本人は文法ばかり勉強しているから話せるようにならないのか?
よく、日本人は文法ばかり勉強しているから話せるようにならないという人がいますが、それは本当なのでしょうか。
確かに学校教育では文法に割く時間のほうがリスニングやスピーキングに割く時間より多く、そういう意味ではそれは正しいのでしょう。
リスニングやスピーキングにもっと多くの時間を割くことには私も賛成です。
では、文法は勉強しなくてもいいのでしょうか。
日本には数多くの英会話スクールがあり、諸外国にも英語学校がたくさんあります。そうした学校には必ず文法のクラスがあります。リスニングやスピーキングだけをやる学校などありません。
なぜか。
文法がそれだけ大事だからです。
文法が正確に使えなくても、コミュニケーションが取れる人はいます。単語を並べるだけでも通じることはありますし、間違いを気にして話さないよりは積極的にどんどん話したほうがいいことでしょう。
初級レベルではそれでも何とかなるんです。
しかし、中級以上になると、文も長くなり、より複雑になってきます。この時に語順、時制、主語、単数なのか複数なのかということが明確でないと、何を言っているのかわからなくなります。
中学、高校では確かに文法をたくさん勉強しますから、大多数の人が英会話スクールの門を叩く時に、すでにある程度文法の知識があります。
では、そのうちの何人がその文法を使いこなせるかというと、使いこなせない人がほとんどなのです。
なぜあれだけ文法を勉強したのに使えないのでしょうか。
使う練習をしていないからです。野球でいえば、バットの持ち方、打つ時の姿勢、バットの振り方、振るタイミングなどを理論として学んだだけで、実際の打撃練習をしていないようなものです。
文法を学ぶ時は必ずスピーキングとリンクさせることです。
スピーキングとリンクさせるというのは例文を作り、口に出して言ってみることです。書くだけではダメです。口に出して言うところまでしないと完結しません。
例えば、I am a student.という文型を学んだとします。私は学生です。という意味で、私は○○です。と言う時に、IプラスBe動詞プラス名詞を使うんでしたよね。
私だったらこの時に、いくつかの例文をつくります。I am a man. I am not a teacher. I am Japanese. I am not American. I am not a woman. I am a college student. I am not a high school student. I am not a junior high school student. I am not a police officer. I am not a baker.
これだけで10個の例文が言えました。さらに、you, he, sheなどを主語に持ってくればもっといろいろな形の例文が作れます。
例文で重要なのは、He plays golf.のような誰のことを指しているのかわからない例文は作らないということです。この手の例文は学校の教科書や参考書などによく出てくるものですが、例文を作る時は実在する人物を主語に持ってきたほうがいいのです。
My father plays golf. My friend Takashi plays golf.などという形です。
Heという誰だかわからない人がゴルフをしようがしなかろうがどうでもいいのです。どうでもいいことだと興味もわかず、記憶にも残りません。
しかし、自分の父親や友人なら興味がわきます。そして事実がはっきりしています。Heの場合、架空の状況なので、内容を自分で考えなければなりません。ゴルフにしようか、テニスにしようかと迷うんです。迷うからすぐ出てこない。しかし、事実がはっきりしている人の場合、その事実をそのまま言えばいいんです。
友人を主語にする時は、My friend plays golf.とだけ言わないで、My friend Takashi plays golf.と名前まで言ってください。友達は何人かいるので、誰のことを指しているのかわからないからです。
日常会話でよく使う文法は中学校の3年間で学ぶ文法です。ですから中学英語の参考書を読めば、基本的な文法が理解できます。『ニューコース』はおすすめです。最近は写真やイラスト付きでとてもわかりやすく解説されています。
文法を忘れてしまったという人はぜひこれを読んで復習してください。
忘れていない人も、例文を作って口に出して言う練習をする上で十分役立ちます。
学校教育ではやたら文法用語が出てきますよね。文法用語を覚えるだけでものすごく時間がかかります。
文法用語は知っていたほうが知らないより文法書を読んだりする時に役立ちますが、知らなくてもいいのです。ネイティブの多くが文法用語を知りません。それでも文法が使えています。
文法用語を覚えるよりも使い方を覚えましょう。機能です。
例えば、When I drive a car, I usually listen to music.(車を運転する時はたいてい音楽を聴きます)このwhenというのは、~する時という意味なので、~する時、通常~すると言うような時に、この形が使えるんだと、覚え、あとはひたすら例文を作るだけです。When I work, I usually wear a suit, but when I am at home, I usually wear a sweater and jeans.(仕事をする時は通常スーツを着るけれど、家にいる時は通常セーターとジーンズを身につける)When I eat rice, I usually use chopsticks, but when I eat pasta, I usually use a spoon and a fork.(ご飯を食べる時はたいてい箸を使うけど、パスタを食べる時はスプーンとフォークを使う)などという文をいくつか作っていくうちに、だんだんこの使い方がわかってきます。
感覚的にわかってくるんです。
理屈ではなく、感覚で覚える。これがポイントです。
TOEICのパート5とパート6は文法が試される所ですが、頭で考えていると間に合わないんです。素早く答えるためには感覚で判断しなければなりません。
私は、文を頭の中で読み上げます。その瞬間にしっくり来るか来ないかで、文が正しいかどうかがわかるんです。
その感覚を養うためには、日ごろからこうした文を口に出して言っていなければなりません。
そして、感覚的に覚えるためには、日ごろから数多くの英語に触れている必要があります。
つまり、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングを総合的に、徹底的にやること。
特にライティングは文法を覚える上で役立ちます。文法が理解できていないと文を組み立てていくことができないからです。
ライティングのところで紹介した『英会話のネタ帳』には添削例が載っています。これは日本人が書いた文をネイティブが添削したものです。単数なのにaが抜けている、複数なのにsが抜けている、過去の文なのに現在形が使われている、不可算名詞なのに可算名詞にしか使えないmanyが使われているなど、日本人共通の間違いが確認できます。
文法を覚えるのに一番いいのが、自分が書いた文章を誰かに添削してもらうことです。
私はジオスでの講師時代に、『英会話のネタ帳』を宿題として出し、数多くの生徒の英作文を添削しました。やはり間違えるところは共通しているのです。時制、可算名詞か不可算名詞か、可算名詞の場合単数か複数か、そして代名詞がそれに一致しているかなど。そして、そこで出てくる文法的なポイントがほとんどTOEICの文法のパートで出てくるんです。
ですからTOEICの文法対策としても、文章を書いて添削してもらうことを勧めていました。
当コーチングプログラムには添削サービス付きのライティング補助コースもあります。これは文法を覚える上でも役立ちます。