ボキャブラリー、つまり語彙は語学学習の最も重要な部分とも言えます。なぜなら、最終的には単語がわからなければリスニングもできませんし、リーディングもスピーキングもライティングもできないからです。

上級者になれば語彙がすべて

特に上級レベルになると、語彙を増やすことが学習の大半となります。文法はほぼ完璧にマスターし、リスニングもCNNぐらいのスピードでも聴きとれるようになり、スピーキングの流暢さもつき、本もある程度読めるようになった段階では、他にやることはあまりなくなります。

ただ、この段階でもおそらくネイティブの半分ぐらいの語彙しかないのではないでしょうか。それだけ英語には豊富な語彙があり、特に本や雑誌を読む上では上級者でさえ知らない単語がまだまだたくさんあります。

タイム誌には難しい単語がいっぱい

えっ、と思う方はタイム誌を読んでください。わからない単語だらけです。もっとも、英検1級にはタイム誌に頻出する単語が出てきますが。1級はそれだけ難しい試験なのです。

レベルに合った語彙を学ぶ

他の勉強法と同様に、語彙もレベルによってやることが違ってきます。初級者がタイム誌に出てくるような単語を覚えても全く意味がありません。レベルに合った語彙を学ぶべきです。

受験勉強をした人は結構難しい単語を知っていたりします。しかし、スピーキングのレベルがそれに伴っていないと、聞いた時に不自然なのです。

農耕民族は農業をする人でいい

例えば、まだ片言しか日本語を話せない外国人が突然、農耕民族という単語を使ったらどうですか?
「わ、わたーしは、にほんじん、あー、あめりかのひと、ちがいます。なぜなーら、のうこうみんぞく、かりをするひと、は、かんがえかた、おなーじではありませんね」のような中に一つだけ難しい単語が入っていたら。

農耕民族と言うならば、狩猟民族という言葉も使わないとバランス的に変ですよね。「かりをするひと」と言うのなら、最初も「のうぎょうをするひと」でいいのです。

語彙だけ学ぶとこういうことになるんです。やはり、スピーキングとリンクさせて学んだほうがいいです。

使用頻度が高い単語を覚える

最初のうちは日常会話で使用頻度の高いものを覚えましょう。基本動詞、基本的な名詞、形容詞など。

そして、それらを使ってとにかく話す練習をする。文法のところで挙げた例文作りをするのです。

覚えた単語はすぐ使うようにします。そうすることで忘れないのと、使いこなせないような単語は覚えようとしなくなるからです。

流暢さの鍵は、自分の知っている単語だけでいかにたくさん話すかなのです。

例えば、secretary(秘書)という単語を知らなくても、a person who types letters and answers the phoneと言えば相手はわかります。そうやって説明していけばいいのです。実はこうした説明をすればするほど英作能力がついていき、流暢さがついてくるのです。

ここで、立ち止まって辞書を引き、secretaryという単語を調べてしまったら、a person who types letters and answers the phoneという文を言わないことになり、練習する機会を失ってしまうのです。

ですから単語を知らないことによってかえって上達することもあるのです。

リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングと並行させる

繰り返しが学習の鍵です。一度覚えた単語でも、使わなければすぐ忘れてしまいます。だからこそよく使う単語を覚えたほうがいいのです。

それを考えると、単語学習も、リスニング、リーディング、スピーキングやライティングなどと並行させてやることが大切です。その度に同じ単語に触れるわけですから、繰り返しの要素が強くなります。リーディングの所で紹介したPenguin active readingなどは、リスニング、リーディング、ボキャブラリーが同時に学べる教材です。さらに音読、リピーティング、シャドーイングなどをすることでスピーキングの練習にもなりますね。

ライティングの所で紹介した『1分間英語で自分のことを話してみる』も総合的に学習できるものです。

ライティングと並行させるということでは、『英会話のネタ帳』がおすすめです。これには様々な単語やそれを使った例文が紹介されています。日常会話での語彙を増やすには最適です。

中級以上はリーディングで語彙を増やす

語彙を増やすのに昔から一番いいと言われているのがリーディングです。本を読み、わからない単語に出会ったら辞書を引いていく。

『English Journal』は総合学習雑誌

TOEICで700点以上ある人は、『English Journal』がおすすめです。リスニング、リーディング、リピーティング、シャドーイングなどと併せてできます。

各インタビューには単語がたくさん紹介されていますし、それが使われている例文が本文にあるわけなので、使い方も覚えられます。さらにCDで発音が確認でき、日本語訳までついているのですから。

そして、他の洋書と違い、口語なのです。文章を書く時に使う単語というより、人が実際に話している時に使っている単語なのです。

CNNは読んで観る

語彙を増やすポイントは覚えた単語にできるだけ多く触れることです。そのために、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングにリンクさせることがいいのですが、CNNを毎日観る人はぜひサイトのほうも読むようにしましょう。サイトに載る記事と放送内容は重複します。サイトで単語の意味を確認しておけば、テレビを観た時によりわかりやすくなります。

『CNN English Express』

『CNN English Express』という雑誌もあります。CNNの記事が日本語訳付きで載っていてCDも付いています。『English Journal』と同じ使い方ができるでしょう。